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二男の帰省

  二男の突然の帰省。お盆に帰るとばかり思いこんでいた。そろそろ部屋を掃除しておかなくてはと思いつついたのだが。事前にちょっと電話をくれればよいものを。しかしこれが二男、これで二男。
 電話でも自分からはあまり話さない。この機会に訊きだしてみると、けっこう自分で食事作りをしているようだ。スーパー、コンビニの惣菜、弁当はもう食べたくないという。やはり飽きるのだろう。グリルがあるのでよく焼き魚を作っているらしい。自分の力で自分が暮すのに必要な分を稼ぎだし、掃除、洗濯、炊事をまずまずこなし、とにかく日々を生きている。
 帰るなり、「趣味を満喫してるね」という。庭先に並んでいる種から増やした花々や苅りこんでこざっぱりとした木々を見ている。今にも咲きそうなアマリリス。明日帰るまでに咲いてはくれないものか。珍しくもないだろうが、アマリリスの花を見せたい。

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  遅い昼食を摂っていると、玄関のチャイムが鳴る。出てみると存じ上げない方が。外回りに植えてある薔薇の名前を知りたいという。
 「近所の方が引っ越されたときに、その方からいただいたんですが、まだ名前も調べてないんですよ」と花を剪ってさしあげた。「パソコンで検索すれば出てくるとおもいます。怠けて調べてないんです」。
 名前がわかったら教えてくださるという。

 二男の部屋で掃除機の音がしている。そのまま食材の買い出しに。魚、魚か。今晩は肉系にしてみようかな。お煮染めもいいかも。
  それにしても息子たち、何と厳しい時代に生きているものだろう。消費税はあがる、原発も片付いてはいない。巨大地震予測、大雨、台風被害の大型化、環境問題。TPP等々、圧迫感がひしひしと。先が案じられる。「神われらとともにいます」、この安らぎあってこそ日々こなしゆける人生かとも思う。

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 スーパーで、「ことしも、もう半年が過ぎたんだね~」という人さまの会話を耳にし、えっ、もう半年も? と驚く。夢中であれこれ過ごすうちにときの移ろいに、いつしかあまり拘らなくなっていた。そろそろ文芸誌の原稿のシーズン。この忙しさでできるのだろうか。息子たちに遺せる財産というものはないことを思えば、せめて書きつづったものでも「重要」と記しておいたなら、文芸にまったく興味を示さない息子たちも何かをきっかけに読んでくれることもあるだろうか。

 

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