ヴァイオリニスト川畠成道の世界

川畠成道さんのCDをあの油絵を描いていらっしゃる時子さんが貸してくださった。何はともあれ有り難い。
ネットやアルバムにある川畠ファンは「希望の光」、「生きる勇気と希望をもらった」、「心を洗い流してくれる」などと彼を讃えている。その方々がそう感じられたことはみな事実だろうと思う。私がどう感じたかをいえば、先ず「魅せられた」という表現とはすこし違っている。弦の音に招かれて彼の世界の入り口に立ったところつい身を乗り出し、引込まれて彼の持つ世界に入り込みそこにある特有の美しい世界を見聴きし記憶してしまったのだ。聴く時点では彼が8歳のときに風邪薬の副作用で失明したことは念頭から消えていた。つまりただ音そのものにのみ神経を一極集中させて聴いた。
楽器はガダニーニだという。この持つ楽器の音色がこれに寄与しているとしたら、私はガダニーニファンといっていいのかもしれない。しかしやはりガダニーニをガダニーニたらしめているのは川畠さんの才能であろう。
先週16日金曜日にいわてフィルハーモニーと演奏したのはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だったが、この曲で彼は1998年サントリーホールで日本デヴューを飾っている。小林研一郎&日本フィルとの共演だ。このときの小林研一郎のことばが、私が曰く言い難い感懐をかなり近く言い当ててくれている。それは、「どこかにハンディがあったとしてもそれを超えるものを、もしかしたら神、或いは宇宙のエネルギーの様なものが、特別な形で絶妙な形で補う何かを与えてくれるのではないかと思います。それを授かったのが川畠さんだとおもいます」ということばだ。それにしても私は世離れした川畠さんの内面に紡ぎ出された弦が伝えてくれる美しさに打たれたのである。
写真のCDはデヴューアルバム「歌の翼に/川畠成道」ビクターエンタテインメント(株)。1999年制作。このCDには身近な曲が9曲収録されている。ピアノ伴奏:ダニエル・ベン・ピエナール。
愛の挨拶(エルガー)、ヴォカリーズ(ラフマニノフ)、歌の翼に(メンデルスゾーン)、ノクターン(ショパン)、ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)、タイスの瞑想曲(マスネ)、カルメン幻想曲(サラサーテ)、伝説曲(ヴィェニャフスキ)、創作主題による変奏曲(ヴィェニャフスキ)
どれも納得させられ、心の癒しともなった。
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