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まさかのトラブル

  これまでに私が聴いたコンサートにトラブルがあったことはない。これはプロ、アマに限らずである。これは驚くべきことだと思っていた。尤もコンサートに行く機会が少ないからだろうといわれればそうもいえるかもしれない。何れ演奏家たちがその日に備えて如何にコンディションを整えて臨むものかにいつも感心していた。ところが、佐野之彦著「N響80年全記録」(文藝春秋)によると、立て続けにトラブルが起ったコンサートがあった。これは何も楽団員の心ぞなえが悪かったというのではないようだが。
 95年2月、N響は、ホルスト・シュタイン指揮でワーグナーの『さまよえるオランダ人』(全曲公園)を演奏する予定だった。リハーサル開始2日前に、出演予定だったダラント役の歌手がインフルエンザで来日できなくなり、やっとスウェーデンから代役を招いた。この歌手がストックホルムを発つときは欠航となっても不思議ではないブリザードに見舞われている。ゲネプロに滑り込みセーフ。次なる事態は、公演2日目の開演10分前。バストロンボーン奏者が倒れた。場内の医者が診察。演奏は無理だった。観客にバストロンボーン無しで演奏してもよいかを問うと盛大な拍手。演奏は始まり、あと30分で終演というときに、こんどは袖でオランダ人役の歌手が声の不調を訴えた。ソプラノと15分間のクライマックスのデュエットがある。それが歌えないというのだ。だがこの訴えは退けられ、ひどい声ではあったが歌いおおしたというのである。

 そのときの指揮者の激昂ぶり、運営関係者の様子も書かれている。副理事長の原武さんの機転、折衝、奔走、対応が印象に残った。

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コメント

こんばんは、毎日冷凍庫のなかにいるみたいですね。
すごい演奏会があったのですね。
不可抗力とはいえ、そんなに重なるとは・・・。
あの前頭葉がものすごく発達したマエストロが怒ったら迫力でしょうね。
私は、演奏会で、自分だけ違う楽譜を持って本番ステージにいる夢をみて
ぞっとして目が覚めました。ほんとだったら・・・どうしましょう。

投稿: yocomo | 2012年1月31日 (火) 00時52分

yocomoさま
冬は冬を楽しむと強がったのは昨年まで。春が待ち遠しく思われます。ガタガタ、ブルブル。
このときに観客にバストロンボーン無しの演奏如何と聞いたのは原さんでした。ここでホルストがN響に喚き散らさずに自らが観客に向かって立ち、トロンボーン奏者を気遣う言葉の一つも加えながら、トロンボーン無しの演奏は如何かと訊いたなら、もっと大きな拍手が返ってきたに違いないと残念でなりません。

MBKVがこれまで大曲に挑まれてきたこと、総譜の長大さを思うにつけ万一楽譜がなかった場合には、まああり得ないだろ、しかし、あったようですね。夢の中とはいえ、yocomoさんのだけが違う楽譜だったなんて。まるで小説の中の出来事のよう。夢でよかった!!

投稿: 中ぶんな | 2012年1月31日 (火) 10時10分

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