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雑感

  N響アワーの録画を視聴した。シャルル・デュトワのマーラー『千人の交響曲』だ。
興味深かったのは、まわりの音と合わせながら演奏するわけだが、編成がここまで大規模になると捕えようとする音が自分の耳に届くまでに時間がかかるために、聞こえてから合わせたのでは遅いのだという。大音響の坩堝のなかでは自分が演奏する音などはかき消えてしまって聞こえないとも。何とも“恐ろしい空間”で演奏をしているわけだ。野外ステージで演奏する場合も、自分の演奏する音が聞こえないために怖いといった話しはどこかで読んだことがあるが、ホールの音響設備の整ったステージでさえもこういうことが起こりうるのだ。
 指揮者などというものは、公演当日前までが勝負で、当日は恰好よく自分を演出しているだけなのではないかと思ったこともあるが、『1000人の……』のステージを観てからは、演奏の成果はまことにまことに総てこの棒の振り具合一つにあることを実感したことであった。

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 去年の暮れに懐かしい方から電話があった。私は、昭和61年4月から宮古市に居住していた。18世帯が暮らす職員宿舎だった。同じ3階に住んでいたYさんだった。そのときに「今度あの時の人たちと温泉にでも行きましょう」と電話が切れた。そして1月に入るとほんとうに電話をくださった。参加は私を含めて4人。みなお世話になった方々ばかりである。
 きのうの午後2時過ぎに盛岡駅のタルトタタン付近のベンチに集合。2時45分のシャトルバスで鶯宿温泉の偕楽園へ。Wさんとは2年ほど前にばったりと近くの繁華街でお会いしている。Kさんともダイエーシティ青山がまだあった頃にそこでお会いした。Yさんとも2、3年前に路上でばったり。みな連れ合いが退職した後には盛岡に居住している。その時は互いに忙しく「またいつかゆっくりね」とお別れしていた。
 鶯宿温泉、205号「能登」に一泊。半島の名前の付いた部屋であることがいまだ訪れたこともない様々な半島を連想させ、その連想はやはり重茂半島で止まった。
 正月過ぎた今時期が料金的にいちばん格安であるかもしれない。その割には部屋も食事も決して悪くはなかった。
 当時のこと、子育てのこと、今の暮しのことと話しは尽きなかったが、やはり宮古市であるということで3・11にも話しは及び新たに或る方が被災され家屋を失ったことを知った。いまはご主人の実家に身を寄せているという。
 風呂より食べるより話し話し話し話し。Yさんのバイタリティ、パワフルさはすこしも衰えてはいない。私とKさんは専ら聞き役。当時はしっかりとした宿舎の模範的存在だったWさんの柔和さに驚き、当時の話術にさらに磨きをかけたYさんの話しに目を白黒させ、当時とまったく変わらない温厚なKさんに頷き、そして私がどのように彼女らに映ったものかは確かめてはいない。その他の共通した変化は割愛するとして、翌朝10時に宿を出、11時頃に彼女たちとさよならをし、駅ビルで買い物をし12時に帰宅。そしてこうしてブログを書きながら浮かんだのは、何と綾小路きみまろの“名台詞”、「あれから30年!」であった。

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