夕焼け
あの日の夕焼けも、ちょうどこんなふうだった。私は写真を撮ろうとして外に走り出て、近所の子どもたちと、「きれいだね」「きれいだね」とことばを交しながらさかんにシャッターを切っていた。そこに出てこられたのがあの方だった。その方も「きれいですね」と傍に立って一緒に共感してくださった。「きのうはもっときれいでしたよ」とも仰った。ことば数は少なかったけれども、あたたかい人柄が感じられた。
東日本大震災。多くの方々が津波の犠牲となられたとき、その惨状には胸を抉られた。誰もが涙したときだった。後になって、この方も津波に浚われ犠牲となられた事を知り、顔を存じ上げている方では初めてだったので、私は欝のような心境に見舞われていた。
縁あっていまその方のお母さんとお付き合いさせていただいている。「今時の娘のようではなかった。ほんとうに思い遣りのある娘だった」と仰っている。たしかにそのようにお見受けした。こんないい方がなぜ? それは分からない。ほんとうに分からない。このパラドックスは、この世にあるあいだは永遠に謎と思うしかないのかもしれない。
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