月刊みやこわが町
石巻日日新聞が被災翌日から出した手書きの壁新聞が、困難な状況下でジャーナリストの使命を果たしたと賞賛されたニュースがまだ記憶に新しい。もっとも地元に親身であってくれる新聞、グラフ誌、広報などの有り難さを思う。
きょう宮古市に住むOさんが封書を郵送くださった。よく送ってくださっている詩集かもしれないと開封すると、「月刊みやこわが町」2011特別号4 である。
宮古市には6年住んだことがある。「この丘に住みて六年木蓮の蕾愛でつつ去りゆかんとす」。こんな短歌を詠んで6年に幕を引き、慣れ親しんだ地から内陸に引っ越したのだった。その宮古市がこのようにさま変わりする日が来ようとは。
写真にある波が盛り上がっているところは防波堤。いままさに津波が易々と乗り越えて市街地になだれ込んでいる場面だ。防波堤の向こう側には岸壁に沿って伸びる路に車が駐車されていたものだったが、その車も、また車ばかりではなく漁船も津波とともに防波堤を乗り越え勢い余る濁流に乗り木造の家屋、商店街、架橋、堅牢なビルの一階をも破壊した。宮古市役所庁舎より閉伊川河口側を撮影したもののようだ。夕陽が落ちかかり煌めく閉伊川の河口を見ながら梅村ヴァイオリン教室から帰ったものだった。またこの川に鮭が遡上するころには、よく魚影を見にいったものだった。
もの凄い力で押し寄せ、短時間に多くのものを呑みこみ破壊しつくし、素知らぬ顔で引き上げていった津波。宮古地区、鍬ヶ崎地区、崎山地区、津軽石地区、重茂地区、田老地区の深刻な被災を後世に遺そうとの切なる編集者の市民の、被災者のおもいが籠もっている。
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