きょうのことばー『偕におられる主イエス』-その2
※前ページからの続きとなっております。インマヌエル盛岡キリスト教会の説教をお届けしております。
ユキヤナギ
わたしがここで思い出すのは、インマヌエル綜合伝道団の創設者蔦田二雄先生の著書にある獄中での経験です。太平洋戦争下、天皇が神とされ、キリスト教は反体制分子として弾圧されました。このとき蔦田牧師も拘留されたのです。本文は文語体が多いので、平易な口語で一部抜粋してみます。拘置所での体験です。
「2階28号という小さな独房へ導かれる。ズシーンという重い鉄の扉が背後に閉じられる。ふと振り返ると、その扉は手掛かりとなるハンドルがない。用のあるとき、ただ外から係官が開くことができるだけである。ウィリアム・ホールマン・ハントの『世界の光』という絵にあるキリストの扉(人間のたましいを象徴する)を思い起こす。どこにもここにも深刻な事実の中に胸を裂くような真理が閃いている。3畳の独房ではあるが、ここは警察署とは異なって畳は敷いてある。おまけに蒲団は敷いてある。家を離れてからまる一カ年ぶりである。これからいつまで続くかわからない。自分ひとりきりの生活であるのなら久々に畳を踏んで蒲団に身を横たえることのできるうれしさ、小さいことにも熱い感謝を抱くことができる。空も土も凍てつくかと思われるほど酷寒続き。まさに厳冬である。夜半ふっと目を覚ます。白銀のような月光が天井から肘掛けあたりまでの細長い鉄窓の磨り硝子にすりこんでいる、」
輝きに鉄格子の影がさーっと手すりのところまで来ているというのです。
「何処からも声がしない独房の夜半である。夢か現実かじっと窓の光に見入っていると、四方の鉄筋の囲みが消え去って心が、これが地上のあらゆる拘束を超えた解放と自由の意識に満ち満ちる。冷たい細い鉄窓は世俗と離れてひたむきに神への精進を重ねる修道院の色硝子の窓に化する。ああ此処は独房にあらで修道院の行く手如何に成り行くかは別として、如何に貴き一時ならん。」
このように文章は続いていくのですが、人間的に犯罪を犯して捕まったということではまったくない、真剣に神さまにお仕えし福音を伝えていた者たちが治安維持法違反ということで、牢屋に入れられてしまった。そのとき、
「視(み)よ。我は世の終まで常に汝らと偕(とも)在(あ)るなり」。「神われらと偕に在(いま)す」。このおことばを蔦田先生ご自身の事実として捉えられたのです。これは、そのときたまたまそうであったというのではありません。いまのことなのです。いまここにいる私も含め皆さんがたも含めて、どんな環境に置かれたとしても、イエスさまの非常に強いおことばエゴ・エイミー、「わたしはあなたとともにいます」「我汝らと偕にある」が事実としてあるのです。イエスさまはいまも昨日も今日もとこしえまでも変わることのないお方であります。
復活の後40日間イエスさまは突然姿を現わされたり、或いは消えたりなさいました。それはどうしてでしょうか。目に見えても見えなくともイエスさまはいつでもともにいてくださるということを弟子たちに教えたく願われたからであります。このマタイ伝28章20節のおことば「見よ。わたしは、世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます」。きょうは、このおことばだけをしっかりと捕まえて礼拝を立ち上がっていただくなら、それでもう今朝の私のご用は十分に務まったと言えるとさえ思っております。このおことばを何度も繰り返して暗記いたしましょう。
見よ。わたしは、世の終わりまで、いつもあなた方とともにいます。
これを信じることができますか。
このことをアーメン、その通りですと頷かせてくださるのは御聖霊さまです。この方が私たちの心の中に語りかけて下さるから頷けるのです。そしてこれが現実のものとして理解されます。また、これは極めて実際的な勧めです。この教団の河村襄先生がしばしば仰いました。「この大切な聖書のおことばを100百回繰り返しなさい」。冗談ではなくこうも仰いました。「99回でもダメです。100回言いなさい。101回はどうか、100回でいい」と。実際にそれをするしないということはその人に掛かっている、だから本気になって言ってご覧なさい。
きょうの説教の中でエゴ・エイミーというギリシャ語は最も強いことばであり、しかもそれは神さまご自身を表わすことばです。「わたしは…である」「我は在りて有る者なり」、このおことばが約束されていて、わたしはあなたと一緒にいるという。絶望するとき、孤独になってしまったと思うとき、誰も自分を理解してくれないと思っているとき、見よ。わたしは、世の終わりまで、いつもあなた方とともにいます。このおことばを皆さんとご一緒に繰り返してきょうのメッセージを締め括りましょう。
※短く編集するために、例話などを割愛してございます。文責:中ぶんな
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