« どこまでできるか庭づくり | トップページ | きょうのことばー『栄光、小羊にあれ』 受難週を前にーその1 »

TV マイケル・サンデル究極の選択「特別講義大震災後の世界をどう生きるのか」

 この番組は、ハーバード大学教授マイケル・サンデル氏が日・米・中の若者から、東北関東大震災でパニックがなかったこと、原発、国際協力に関して意見を引き出すことで互いに考えてゆくといった形式だった。日本からは女優、作家、また今回義援金として5億円を寄附した通販会社の方も加わっていた。
 中でも原発に関する意見交換は興味深かった。
 今後も原発は必要だとする意見には、夏などは室内気温が40、50を越すという現実があり、この電気を供給するには原発が必要だ、或いは、人間は進歩することで生き抜いて来ており、一番怖いことは人間が進歩することを止めることなのだ、鉄も最初は危険だったが、後には技術によって安全性が確保されるようになった、飛行機も一旦事故が起きると多くの犠牲者がでるが、だからといってもう飛行機を飛ばさないかというとやはり必要であり、それと同じように原発の今回の事故で無くしてしまうというものではない。また今後インドのような国々が更に発展を遂げるには原発が必要等々。
 これに対し、原発は完全に無くすべきだという意見。原発を無くすると生活水準を引き下げざるを得ないが、そもそも生活水準とは何か、豊かさ、生活水準をどうして重視するのか。この度の節電で家族が一緒に同じ部屋で過ごす時間が増えたではないか、或いは人道は経済に優先されるべきだ。太陽光、風力発電に切り替えるべき。またNIMBYということばがある、これは自分は危険を背負いたくないが、そこから得られる利益は得たいというもの、原発の建設はどこまでもこのリスクの押し付け合いとなる。原発の危険性は、鉄や飛行機に比べられるものではない、危険度のスケールがまったくちがうものである。原子力のリスクはヒコーキの比ではなく、受け入れるべきものではない、等々。
 
 わたしが原発に関してものを言うには知識不足ではある。この討論にも原子力の専門的な破壊力の数値というものは出なかった。しかし「今後世界的に大きな自然災害が頻発するようになる」との警告を聞いたのは四川大地震のあとだったろうか。次々にハイチ、チリ、ニュージーランドと癒えぬ間の続発だった。
 2010年のRecord China には「国連国際防災戦略(ISDR)の専門家は、災害の発生件数が増加しているだけでなく、災害の種類や発生する範囲も急速に拡がっているとした。「自然災害とは言っても、その背景には人類によってもたらされた影響が色濃い」とし、「自業自得だということもできる」と指摘し、人類が自然環境や生態系を破壊したことが原因と見られる自然災害の件数が増加しているという。結果、災害の及ぼす範囲・被災人数・経済的被害は規模を大きくしており、これらを防止するためにはまずは教育による意識改革が重要、次に行政による土地管理など事前準備が必要であると説いた。(翻訳・編集/岡田)」 とある。
 緊急地震速報で被害から多くの命が守られることはできる。しかしこれまで一度として科学の力をもって地震その他の自然災害を事前に潰すことはできなかったのだ。勿論ダムに貯水することで、洪水を防ぐことができるといった規模のことはあったけれども。この度の地震、津波そのものには為す術がない。そのような中で原発を持ち続けることは、やがては地球そのものを失ってしまうことにはならないだろうか。

|

« どこまでできるか庭づくり | トップページ | きょうのことばー『栄光、小羊にあれ』 受難週を前にーその1 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: TV マイケル・サンデル究極の選択「特別講義大震災後の世界をどう生きるのか」:

« どこまでできるか庭づくり | トップページ | きょうのことばー『栄光、小羊にあれ』 受難週を前にーその1 »