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“いい写真”は“いい演奏”に結びついている

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 このCDは1993年録音の朝比奈&都響のブルックナー「交響曲弟9番」の解説に納まっている写真だ。この盤は“朝比奈ブルックナーの総決算”ともいうべき第一級の名演奏とされている。ただまだ演奏について感想を述べられるような聴き方はしていない。“ながら”ではないがじっくりと集中的に聴いてはいない。たびたびの一時停止で他のことをし、音楽世界が遠のいたころにまた舞い戻るといったパターン。それでも書こうとするのは写真のこと。楽器の艶やかさ美しさ、弦を奏で鍵盤を駆ける指、指揮者が音楽の核心部分に触れたときの表情、坦懐に無心に歌う姿。こういった写真には心惹かれる。しかしホールでの撮影は禁止。専ら写真やDVDでとなっている。このコンサートの写真について、朝比奈1993盤の解説の中で、木之下晃氏が1995年現在で仰るに、

 65年から朝比奈を写し始めて30年、撮ったフィルムは約500本。その中で“いい写真”となると数えるほどしかない。“いい人物写真”とは写し手と被写体の方の双方が気にいることがその条件の一つであるという。

 「写し手と写された人との間に互いに発するエネルギーが或る高い次元で結合した『一瞬』に生まれるような気がする。…写真集を出版するにあたってセレクトしていたら、“いい写真”は同じ演奏会でまとまって写っていることが多いのに気づいた。思い起こすとその演奏会はいずれも名演奏だった。いい音楽が演奏されるときは指揮者もオーケストラのメンバーも音楽の中に没入し、とても美しい演奏スタイルになっている。“いい写真”は“いい演奏”に結びついている。…“いい演奏“というのは音楽家から多大なエネルギーが送り出されていることを意味し、写し手はそれを写しとめる技が必要となる。その技がいわゆるシャッター・チャンスといわれるものである。“いい写真”を写すということはそのシャッター・チャンスを磨くことである。写真はシャッター・チャンスとフレーミングの二つの感性で成り立っていて、その感性は強い集中力が要求される。シャッター・チャンスの感性は、目で見た状況を指先に伝達しシャッターを押すまでのタイムラグを無くすることなのである」

 因みにこの写真は朝比奈が大変気に入ってプロフィール用、レコードのポスターなど多く使ったといい、また木之下氏にとっても初期の傑作の一枚であるという。


 

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