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映画「酔っぱらった馬の時間」 

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 岩手県立図書館から借りたDVDだが、「酔っぱらった馬の時間」を視聴した。
監督はバフマン=ゴバディ。2000年イラン製作。

 国を持たないクルド人が生きていくことの苛酷さが描かれている。クルド人は中東の先住民族。クルディスタンが舞台だ。常に時の勢力に虐げられ利用されては裏切られてきた民族だ。

  地雷で父親を亡くした5人の子ども達が主人公。12歳のアヨブが自分が家長である自覚と兄弟愛から皆を養い、いかに辛くとも、すでに15歳でありながら四肢 が伸びないという難病を背負ったマディをも決して見捨てることをしない。マディの僅かな寿命をのばすためには手術費が必要だった。マディの叔父はマディが 知らないうちに姉のロジーンを嫁がせることを決める。それには嫁ぎ先が病気のマディを引き受け手術を受けさせるという条件も入っていた。アヨブの涙の慟哭 の反対は叔父に退けられる。山岳地帯、深い雪の中をマディとともにラバに揺られ嫁ぎ行くロージン。しかし迎えに来た嫁ぎ先の者達は、マディを余計者とし引 き受けを拒否。ラバを一頭くれてやるからマディは連れて帰れと迫る。それを寒さに震えながら聴いているマディ。アヨブはラバを引きマディを連れて家に引き 返す。何としてでもマディに手術を受けさせたい。その費用を稼ぎたい一心で、アヨブはイラクへの密輸業者のキャラバンにイラクに連れていってくれるよう頼み込 む。ラバをイラクで売り、手術費を捻出するためだ。アヨブはラバに酒を飲ませ酔わせ大型車輌用のタイヤを左右に背負わせて苛酷な山岳地帯を追い立てるキャ ラバンに加わる。だがついに国境警備隊の銃砲に負われ、キャラバンはラバを引きずり打ち叩き歩かせようとするが酔っぱらったラバたちに急転直下の危機は いっこうに通じない。括った荷を外して谷へとタイヤを転がしラバを転がし進ませる。アヨブは、マディを背負い限りに助けを求め泣きさけぶが、ばらばらに逃 げ去り遠ざかっていくキャラバン。しだいに弱っていくマディを背中に感じながらアヨブはただひたすら深い雪をこぎながら国境を目指す。
 アヨブはマディに語りかける。「大好きだよマディ、国境はもうすぐだよ」

  「人生は苦労ばかり/子供ですら老いてゆく/険しい山を越え/深い谷を巡る/つらい仕事が僕らを死へ導くよ/人生は苦労ばかり/子供ですら老いてゆく/厳しい毎日が僕らの若さを奪う」(子供達が合唱する現地の唄)

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