« CD「モーツァルト&ブラームス クラリネット五重奏曲ほか」ザビーネ・マイヤー/ヴォルフガングマイヤー | トップページ | 朝比奈隆のブルックナー »

クラリネット

 きょうは作業をしながら、きのうブログにアップしたクラリネット五重奏曲を聴いた。“ながら”であるから、どうしても意識を向けるのはハイライト部分ということにはなる。club

 すこしこもったような音のするこの楽器、包容力のある陰翳といったものを感じている。独特だ。「朝比奈隆 最後のマエストロ」(文藝別冊)にあるが、朝比奈千足氏が中学生だったとき、父朝比奈隆が、オーケストラの楽器庫の中から埃のかぶったクラリネットを持ってきてくれたという。千足氏はクラリネットが活躍する作品に興味を持ち始めベニー・グットマン、モーツァルトの協奏曲を聴くようになったようだ。朝比奈隆は時々オーケストラの曲でクラリネットの活躍するところを教えてくれたりしたという。
 朝比奈が息子に与えようと持ち帰った楽器クラリネット。クラリネットがたまたま余分にあったからだとは思えない。やはり魅力のある楽器だったからだろう。
diamond

 マルクス・フレックによれば、クラリネットは18Cにシャリュモーを改良した新しい管楽器として登場。まだクラリネット用のレパートリーがないので、オーボエのための曲を編曲して演奏した。クラリネットのための協奏曲が初めて書かれたのは18C半ばでヨハン・メルヒオールモルターによってだった。どのような作曲家であったかは分からない。間もなくクラリネットはドイツの貴族達の人気を集めた。侯爵、伯爵、プロシアの王女までが虜になった。とはいえ一流の作曲家達がクラリネットの曲を作曲することはなかった。
spade

 そんななかで、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは早くからクラリネットを評価、1771年作曲の「ディベルティメント」でクラリネットを使っていた。交響曲では1778年の「<パリ>交響曲」でだった。この年代に間があるのは、ザルツブルクには使えるクラリネット奏者がいなかったからだという。モーツァルトは1781年フリー・メイソンでの仲間だった帝室吹奏楽団のメンバーであるアントン・パウル・シュタードラーと出会う。これがきっかけでモーツァルトはクラリネットの作品をいくつか作曲。彼らは似たもの同士。面白いことにというか怪しからぬことにというか、これも二人してフリーメイソン仲間のヨハン・ミヒャエル・プフベルクに多額の借金をしていた。プフベルクはシュタードラーには取り立ての訴訟を起こしたが、モーツァルトには彼の天才に免じて取り立てをしなかったらしい。そんなばかな、天才であろうが凡人であろうが借りは借りだと、天才を羨むこの凡人は思うのだが、どうも本当のようだ。
heart

 シュタードラーは低音域を広げたクラリネット、これをバセットホルンというが、これを作らせた。そしてこの新しい楽器のためにモーツァルトが作曲したのがクラリネット五重奏曲K.581とクラリネット協奏曲イ長調K.622。そしてもう一曲、クラリネットとバセットホルンにヴィオラ、ヴァイオリン、チェロのための五重奏曲だがこれは未完らしい。きのうアップしたCDのカルミナ四重奏団はフランツ・バイヤーが補筆完成させたものを演奏している。
note

|

« CD「モーツァルト&ブラームス クラリネット五重奏曲ほか」ザビーネ・マイヤー/ヴォルフガングマイヤー | トップページ | 朝比奈隆のブルックナー »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/461668/38522195

この記事へのトラックバック一覧です: クラリネット:

« CD「モーツァルト&ブラームス クラリネット五重奏曲ほか」ザビーネ・マイヤー/ヴォルフガングマイヤー | トップページ | 朝比奈隆のブルックナー »