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猛暑

 この猛暑を音で表わしたならいったいどんな楽器をどんなふうに使ったらよいのか。畏怖さえ覚えるこの暑さ。ジュラルミンがぼっと炎をあげるさまが浮かび、ストランヴィンスキーが鳴った気がした。

 陽炎の国道4号線。溢れかえる車はみなほどよく冷えた密閉容器。ヒトという生きものが、箱の中で秋口の涼しさを享受しながら、どこか眠たげな脳の司令にハンドルを軽くにぎって、いまにも融点に達しそうな景色を、フロントガラスに受け流している。

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 サイドミラーに遠くなり、小さくなってきえゆく夏の路上、街の景色は、次つぎに時のフィルムに巻き取られ、後方はるかなところで過去と生成されているらしい。

 陽炎のゆらめき、逃げ水の確かさ。

 この夏を切るのは秋ではない。
 地を射る眼光の鋭さ

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