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有難う!シンフォニエッタ・盛岡

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 ここのところ、このブログが畜産ネットと様変わりしていた。というのも葛巻の友だち(熊本県出身)が酪農家であり、そこに泊まり込んで手伝わせてもらった経験から、宮崎の口蹄疫問題が他人事ではなかったからである。

 しかしきょうはシンフォニエッタ・盛岡の「春のコンサート」、聴いてきました。近頃はコンサートには消極的だった主人も同行しました。
 ほぼ開場時間に到着。前の方にすわることが出来ました。ホールへの階段を降りてゆくとカルテットのお出迎え。本番前の楽の音、聴かせてくださいました。楽団員の方々がそれぞれに楽器を抱えてステージに登場し、コンミスの音合わせ。弦楽の楽しみはここにもあります。

プログラムの解説から :明るい曲調の中にふと忍び寄る「翳り」…「ひとつの真実はその反対の真実を常に包含しているのだ」とでもいうような視座からの「対話」を要求しているように見える。…K400番代後半を境に、明らかに彼の中で何かが変っていった。…初めて「翳り」の意味が分ったとでもいうように…今や「自分の気持のために」書くようになったとでもいうように…モーツァルトという不世出の人間の「陽のあたる悲しみ」とでもよびたくなる心象風景をそのまま音に写したようなK.488…(特に第Ⅱ楽章のAdagioは白眉…)…何かが変る「前」のモーツァルトと変った「後」のモーツァルトをまさに象徴する佳品である。(櫻)

曲目  
W.A.モーツァルト
    交響曲第29番イ長調 K.201
    ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488      
 
         春のメドレー 早春賦~花~荒城の月~
      花の町~おぼろ月夜~春が来た
      編曲 佐藤公治
    ディズニーメドレー
      編曲 佐藤司美子


指揮   櫻和幸
ピアノ  水原良子
ヴァイオリン
☆宮野ゆかり○及川靖子 大森久仁 大森彩加
 小澤綾    小原学  菊池昌平 櫻糀毅
 高橋文二  武田浩   成田浩  姫野千世子
 藤浪路奈

ヴィオラ
 佐藤俊樹  武田利都子 橋本剛行

チェロ
 佐々木松子  佐藤健  畑村保裕  松尾真里
 民部田里美  

コントラバス
 高橋友佳子○寺山貴大

フルート
 飯島美穂  佐々木宏   

オーボエ
 今野朋枝  佐藤光彦

クラリネット
○堀江淳  森亜矢子  

ファゴット
 佐藤雅宏  西舘ゆかり

ホルン
 畑澤巧 ○小林杜子  

パーカッション
○高橋円

編曲/ピアノ
   佐藤公治  佐藤司美子(両名とも特別出演)

☆コンサートミストレス
○エキストラ

※不勉強のゆえ、よく存じ上げない方々もいらっしゃいますので、敬称を略させていただきました。

 ひどく主観的な事になるが、29番のⅡ楽章に入ったとき、わたしはなぜか宮崎県の酪農家の方々の苛酷な状況が次つぎに浮かんだ。それこそ盛岡初の原彬率いる盛岡オーケストラ(アンサンブルといった規模ではあったが)を彷彿とさせるこのオケの真ん中に、牛が豚が処分を待っている姿が、それを悲しみ絶望、不安の中で見守る人々の顔が暫くは消えなかった。音の輝きとは対極にあるものの同時進行である。モーツァルトが流れ、悲惨さもすすみゆく。世の中は常にこのような奇妙なコラボで成り立っている。胸が詰まった。しかしこれはこの29番がわたしから引き出した、それこそ明るい曲調の翳りとして引き出されたものであるかもしれないとおもった。23番でその幻は一旦はわたしの心象を去ったけれども、弦の輝きは輝きとして失せず、翳りは無言でその中に佇んでいる不思議な光景であった。23番のⅡ楽章Adagioは「陽のあたる悲しみ」、悲しくも、悲しさが故に切なく美しいと聞かせてくれた。昨年もそうだったが、弾きすすむにつれて音の厚みが増し確かになっていった。

 春のメドレー、「花」に入ったとたん、何と楽器がしゃべり始めた。ヴァイオリン一挺の気まぐれかと思いきや、すべての楽器が思い思いの個性で盛んに明るくしゃべるのだ。編曲の綾というのだろう。そしてアンコール曲のアメージング・グレイス。最近酪農に関し朝に祈ったときに浮かんだのがこの賛美歌だった。ここにきてなにか不思議だった。神からのプレゼント、そんな気がした。

 
  
 

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