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井上ひさし氏逝く

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 井上ひさし氏が9日肺ガンで亡くなられた。75歳。

 ひょっこりひょうたん島はよく見たものだ。「悲しいことや苦しいことはそれほど考えなくても出てくるが、楽しいことや面白い事は考えないと出てこない」と仰ったことがいつも思い出される。
 また、「農業軽視のでたらめさ、憲法軽視に怒った農民が、食糧自給率100㌫、最先端の医療技術、莫大な埋蔵金、地熱発電所をもとに独立した吉里吉里国」建国の父だ。

 井上ひさし氏とたった一度だけ肩を並べたことがある。といっても単なる通行人の一人としてであるが。その日、盛岡市のプラザおでってで氏の講演があった。いつもは自転車なのだが、この日は歩いていった。写真にある岩手銀行中の橋支店に向かって右側にある交差点を渡っていたとき、タクシーが目の前で停まり、何と、連れとともに降りてきたのだった。向かいのプラザおでってに行くために、岩手銀行中の橋店の入り口前で信号待ちとなった。自然に並んで待つことになったのだ。そこで思い切って「井上先生ですね、お目にかかれて光栄です。いまから先生の講演を聴きにいくところです」と申し上げると、「そのボタンは自分で選んだのですか」と仰る。白いブラウスに木製のさまざまな形の小さなボタンがついていたのだ。わたしはどうしてそんなことを訊くのかわからなかったが、「はい」と返事をしたところで信号が青に変った。氏は連れの方と歩きだされた。ボタンのことは、おそらく個性と思われる点を取り上げてくださったと思われる。そのあとは、すこし身近な存在として壇上に見ながら園井恵子のお話しを聴いたのだった。単なる通行人の一人としての出会いではあったが、訃報に接し思い出された。ご冥福をお祈りいたします。

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