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草地

 春先には、チューリップや水仙の芽の間に生えたはこべや姫踊子草を雑草としてむしり、夏が近づいたときには、それこそカゼクサ、メヒシバのようにさまざまな草がはびこってくる。一本一本を気をつけて見ることもなかった。

Timothee (Phleum pratense subsp. pratense).jpg

 けれども、この写真にあるチモシーのような草は懐かしい。早朝に玉の露に光り、高原の薫風にゆれるさまは胸の隅々までを爽やかにしてくれる。

 実はこれを牛や馬、ウサギも喜んで食べるらしい。チモシーだけではない。牧草地の草をクリックしてみると家畜たちが喜ぶ草はこんなにたくさん! 山地酪農では牛がクマザサも食べているらしい。消化機能が驚くほどに優れているのだ。もちろんクマザサだけを食べさせているわけではなく、場合によっては穀物などの飼料もプラスしている。
 草地で育った牛は牛舎に繋がれて育った牛よりも小腸、大腸の重量が大きい。ここでも放し飼いの方が牛が本来持っている機能が存分に生かされることが分る。牧歌的な情緒でいうわけではないが、牛や馬が、このような風も香り虫が飛び交う豊かな草に鼻面を触れさせてゆったりと青い草を食べられるとしたら。

 近頃は、スーパーに肉が並んでいると、すこしはのんびりと草を食べた牛かな、それとも牛舎につながれて濃厚飼料ばかりを食べさせられた牛かな、虐待されなかったかな、などと見るようになった。屠殺、解体を潜った肉ではあるけれども、そこまでに至る過程がどんなであったかに思いが至る。

 いまどれだけの食品が、スーパーや飲食店、ホテルなどで投棄されているか、数字はわからないがこれもまた気になる。食品を粗末にすることは、命を粗末にすることでもある。食前に感謝の祈りをすることは、自然体系にも適っていることのように思う。

             

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