もしもわたしが
もしも私が、二十歳かそこいらの青年で、呆気なく逝ったとして、友だちが読んでくれる弔辞は…。想像してみた。
おまえがこんなに早く
あの世とやらに行っちまうなんて
俺はぜったい許さない
ただ若くて死んだってだけで
おまえって奴が
どんどん美化されちまう
どこまでも美しくなってしまう
ところが
この俺はいったいどうだ
最後まで生きて
厭きられるほど生きて
ついには老残をさらす
それだのにおまえは
いつまでも
爽やかに笑って
若々しく写真に収まってる
いったい何なんだこれは
俺は言うよ
いつかはおまえは車をぶっつけて
ヘッドライトをぶっ壊して
支払いに真っ青だった
カラオケで飲んで
へべれっけになって
挙げ句の果てに
噴水の汚い水にぶっ倒れちまった
彼女に振られて
やけになって
電柱殴ったら
拳が逸れて柱に顔面ぶつけてさ
次の日は
そりゃ見ごたえがあったさ
どうだい
まだまだあるんだぜ
言いたくぁないけど
何番だっけ
勿論成績のことさ
学年だって一年喰ってる
まだある
そう、まだまだだ
やめてくれだって
お断りさ
やめるもんか
おまえだけが美化されるなんぞぁ
俺はぜったい許せん
おい
これ以上言われたかぁないだろ
だったらぐずぐずせんで
いますぐ戻ってこい!
おい
頼むから生き返ってくれよ!!
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