絵画の価値
きのうブログに昔、絵の値段を当てようとしたことなどを書きましたが、当たったこともあり当たらなかったことも多々。絵画の値段が何で決まるかといえば、美術年鑑、掲載雑誌などの号価格と経歴に基づいたり、或いは画家が自分でというケースがあるようです。
巨匠のオークションの落札価格となると、ピカソの「パイプを持つ少年」が約118億円だったとか、ターナーの「クリスティーズ」が41億円だったとかもう自分の世界をはるかに超えています。
鑑賞のためにも購入しないわたしが、まして資産としての価値を知ったところで、アマチュア小説を書くときにネタとして生かせるかどうかぐらいのものです。
絵画展を一巡して感動したり、驚いたり、圧倒されたりすることはあります。
もっと身近に、絵画の有り難さを知ったのは昨年末のことでした。台所を片づけていたのですが、一息ついて眺め回したときに、閉塞感に息苦しくなったのです。壁面を張り替えたほうがいいかななどと手だてを考えていたところ、絵を飾ることを思いつきました。といっても、しまい込んである60㌢×50㌢大の写真。画集の中の一枚です。
これは写真の写真ですから、かなり色合いは違っています。けれども、これを壁に留めて眺めたときに、あたかも自然の息吹に直に触れているかの開放感に満たされたのです。実をいうと、画集の一枚としてみたときには、飾るにはすこし暗いなと思っていたのです。取り出したときも、「これでも貼っておこうか」といった軽さでした。ところがどうでしょう。実際に壁に貼ってみると、この絵は私が認識できなかった、思いもかけない効果を発揮してくれたのでした。この絵画が持っている力の素晴らしさ。
カミーユ・コローの「川辺の少女」です。
この絵の実物が時価いくらかはわかりません。コローが1Fいくらで取り引きされているかなど検索する気にもならない。たとえその写真であっても、台所に所を占めて、ふと目を注ぐときに、癒しと平安をくれる「川辺の少女」は、私にとっては世の評価額の外にある、まことの芸術性を備えた最高の絵画なのです。
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