真っ白な木-プチ童話その1ー
雪がこんもりとつもった朝、先っぽに緑の枝先をのぞかせて木々はみんなあったかそうに枝をのばしています。
ずっと林の奧に、一本だけ、どこか不自然な真っ白な木が立っていました。ところどころにまん丸な実が見えます。近づいてみると、どうもその実が動いているようなのです。パチパチ、キョロキョロ。木の中に生き物がひそんでいるようです。
デモちゃんが「出ておいで」というと、
木に雪が積っているとばかり思っていた白いかたまりが幾つにも分かれて、動物たちがぴょんぴょんと飛び出してきたのです。あとに突っ立つとちの木のはだかんぼ。風がカタカタと笑っています。
きつねやうさぎ、それにくま、ふくろう。みんな毛が真っ白でふさふさ。まん丸でいたずらな目が一斉にデモちゃんを見上げます。
「ねえ、どこから来たの?」
「誰なの?」
「ここで何をしてるのさ」
そこでデモちゃんは言いました。
「氷の石を探して、雪の金平糖を食べにきたのさ」
するとりすが、にぎっていた指の間からつるんと光るものをだしました。てのひらに転がすと、それはドングリの形の小っちゃなルビーでした。そしてくまがにぎっていたのは、はちみついろの透明な栗の実だったのです。
続く
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