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アリス=紗良・オット&オーケストラ・アンサンブル金沢:指揮井上道義

 ブラボー! アリス=紗良・オット!! 雪景色の夕べ、イーハトーブのステージに鮮やかに鳴り咲いた紅の薔薇アリス!!
 金沢フィルよ、ありがとう!
 ありがとう、コンダクター井上!!

 ことし初のコンサートは昨日だった。実は去年のわたしの誕生日に主人とわたしに天から授かったチケットだった。
 あれほどに、これほどにきいたヴェートーヴェン交響曲第7番。昨夕はカラヤンでもなくクーベリックでもスクロヴァチェフスキーでも飯森でも朝比奈でもない、井上道義版。
 金沢オケは岩城宏之が永久名誉音楽監督となっている。メジャーレーベルから出したCDも70枚を超えたらしい。年間約110公演とか。
 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」。予想していたよりもはるかに素晴らしかった。金管というのはいつ何時でも図りがたい難しさを併せ持った楽器なのかもしれないと想ったりもした。弦の低音の厚みがしっかり押し寄せてきてくれたのは嬉しかった。近頃はもうヴァイオリンは巧くて当たり前感覚になってしまっているが、微妙な音も確実なのには感心してしまった。
 井上道義ってこんなにユーモアのある楽しい人だったの? ヴェートーベンのトルコ行進曲、蔦姫のテーマ曲。楽しみました。
 そしてアリスは。こんなに指の動きを始めから終わりまで見たのは初めてでした。たまたまピアノがほぼ中央に置かれたので、幸運なことにわたしの席からよ~く見えたのです。ものの見事に動くあの白い10指は、あれはほんとうに指だったんでしょうか。アンコールのラ・カンパネラはもう完璧でした。数々の国際コンクールで第一位となるのはこういう事かと得心しました。

 それにしても、ピアノの美しさとは。スタインウェイ。(これまでに映像、コンサートで見たのはスタインウェイばかり。一度だけ全国の器楽コンクールだったでしょうか、ヤマハを使ってましたっけ)。ベーゼンドルファー、ベヒシュタインは果たしてどこでどんなときにお出ましとなっているのでしょう。それはともかく、ピアノの美しさとは金、管、弦など楽器のほとんどの音域をカバーし、メロディー、ハーモニー、リズムが一台ででき、オケ並のドラマテッィクな演奏をやってのけるばかりではない。

 今回発見したピアノの素晴らしさは、支えられた天板の裏には、ピアノの中にびんと張られた弦が、わたしの位置からは真ん中から高音部の弦でしたが、その弦が映り、ピアノの周りの弦楽器の弓が上下し、アリス=紗良・オットの真紅のドレスが広がり、何よりもアリスの摩訶不思議な指が見事な緩急のリズムでピアノの中をもかけ続けていたのです。恐らくは、天板の上には、指揮者井上の洒脱な動きが終始映っていたことでしょう。ピアノの艶やかな黒い表面にこれほどに多くの音を紡ぎ出す渾身の動きが映っていることに感動したことでした。ピアノの素晴らしさがいよいよ見えたコンサートでした。素晴らしかった。ほんとうに素晴らしかった。

 もう一つ嬉しかったのは、これまで気づかなかったのですが、聴きまくったヴェートーベンの交響曲第7番の公開での初演は1813年のわたしの誕生日の日であることを知ったことです。作曲者の指揮でウィーン大学での戦争傷病兵のための慈善音楽会で行われ、第二楽章はアンコールされたらしい。ヴェートーベン42歳。円熟期の傑作。ここは当日の解説書からです。

 そう言えばピアノに王様の位置を与えたのはヴェートーベンだとか。ピアノが発明されてからヴェートーベンのときに、ピアノは61鍵、68鍵、73鍵と改良されたらしいが、ヴェートーベンはその度にピアノ曲の創作に意欲を燃やした。ヴェートーベンのピアノソナタの歴史はピアノの歴史でもあるらしい。これは「名探偵アマデウス」で言ってました。

 ピアノもヴァイオリンと同じく1700年代に出来上がっているわけで、2000年代が高度か1700年代が高度か、音楽の世界、芸術の世界はちょっと、ちょっと不思議ですね~。

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コメント

yocomoさま
訪問感謝です。
そうですか、コンミス、コンマスではなく、コンミスの隣に。原田さん、ごめんなさ~い! ハラトモ さんって親しまれているのですね。こうして教えていただけて感謝です。お陰様です。
仙台でも。関係者でらっしゃるのかもしれませんね。
全国ツァーの場合、岩手にくるころには、どの方もお疲れだろうといつも思うのですが、けれどもほんとうに仰る通りと思いました。仙台よりも良かったと聞きますと、なにかほんとうに嬉しくなります。
有難うございました。

投稿: 中ぶんな | 2009年1月25日 (日) 20時55分

私も演奏会聞きました。
鮮烈な演奏でしたね!!

横からのコメントですみません。
ハラトモさんはコンミスのお隣でしたよ。

私は翌日の仙台も訳あって聞いたのですが、
盛岡のときのほうが熱い演奏だった気がします。

投稿: yocomo | 2009年1月25日 (日) 19時12分

内丸育ちさま
スタインウェイをスタンウェイと誤記してしまいました。そういう癖があるので気をつけねばと思いつつ、また悪い癖が。有難うございます。
あるブログには、OEKは井上さんのヴェートーベンの理解をよく分かって演奏していると書いてありましたが、その理解というのを今回初めて聴きました。ピアノ、今回はスタインウェイでした。
原田さん、あっ入って来られたなと思いつつそれ以上は追わず、実は今回はコンマスを中心に全体の楽器と指の動きばかりを見ておりました。
着信音は鳴りませんでした。
原田さんは岩手出身。見守っておられるのですね。
原田さんにも引き続き息の長いご活躍があるものと。
敬称は難しい。いつでも人様に伺いたい項目です。親しみをこめすぎても失礼、さりとて丁寧すぎて慇懃無礼となることも。
ベヒシュタインを聴く機会を得たいものです。リスト、ドビュッシーの愛した音の器・・・。
とにかく素敵な演奏会でした。

投稿: 中ぶんな | 2009年1月19日 (月) 11時20分

盛岡ではベーゼンドルファー、スタインウェイどちらを使ったのでしょう
道義さんOEK名前を聞いただけでワクワクします
智子ちゃんはどの辺に座ってましたか
原田女史をそんな呼び方しちゃいけない達増君と文芸春秋のグラビアに載る方を
一つ心配だったのは携帯電話の着信音、今回は鳴らなかったでしょうか
金沢で何度か鳴ったそうです

投稿: 内丸育ち | 2009年1月19日 (月) 00時08分

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