「きょう医者に行きたいんだが・・・」
遠慮がちに舅が言った。腰痛がぶり返したのだ。舅は毎年リンゴを発送してきた。無精なわたしは、店に注文すれば送り状を書くだけで済むと内心思うのだが。舅自ら懇意にしている農家にリンゴを注文する。ネット、ダンボールなどを調達するのはわたしの役目。舅は従来手ずから詰めて荷造り、リンゴの他に菓子や手紙を入れて発送している。確かにこのやり方のほうが心がこもっている。受け取ったほうも嬉しいはずだ。近年もう舅がやるのは無理となった。わたしが代役となった。今年は主人も手伝った。
もしリンゴをネットに入れるのを職業としていたなら・・・韓国のバス会社が運転手の走行の燃費をいちいち計算し表にしているのを思いだした。いかにも人の悪そうなー見かけだけでは判断できないというもののー社長が得々と利益を開陳していた。この作業がもし職業であったなら、何秒で一個ネットに入れられるかを測られることだってあり得る。どこまで手早くできるだろうか。勢い作業はスピードアップ。先にネットの底から手を入れて指を広げリンゴを受け止める。網を破らないようにここでは注意深く、ここでは可能な限り速く、と繰り返すうちに当初予測した時間の半分で箱詰めは終了。ダンボールの口をビッビッっとガムテープで閉じておいた。これで一息。
ところが舅がそれにビニール紐をかけていたのだった。あっ、と思ったが、もう遅い。終わるところだった。できるだけ若い?ものたちに迷惑を掛けたくないのと、まだまだ自分でもできるというこれまでの自信からした事だ。一息入れずに紐かけもやってしまうべきだったと後悔した。
腰痛はリンゴの紐かけが原因だ。翌日痛みが出、直接外科に行こうとしたが、先ずかかりつけの内科医に相談したいという。たまたま来訪したケアマネージャーもそうした方が良いというので取りあえずは掛かり付けに。ところが受診すると、「痛みがなくなった外科は要らない」というので帰宅。しかし翌日痛むというので外科へ。腰の写真を撮るなどして、湿布を貼って様子を看るようにと言い渡された。一旦は治ったかにみえたが一週間たった今朝痛み出した。外科を受診したところやはり湿布を貼って様子を看るようにとのことだった。介護上、見極めの難しさを思った。本人はもう痛くないといっても病院に連れて行くべき場合があるだろう。また逆に本人が行きたいといっても行く必要がない場合もあるかもしれない。ただこう高齢であると、連れて行かずに何かあったときには大変なことになる、と思うので、本人が行きたいと言ったときには連れて行くことにはしている。
舅には常々「100歳までは絶対大丈夫」と言ってきたが、本人の為にも介護者のためにも健康を維持して貰いたい。維持できるような介助を、と思うがどうも優れた介護者にはなれそうにもない。何れ相手が90歳であってみれば、責任はこちら側にあるといえるだろう。
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