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『冬』の楽章

 窓いっぱいに紅を誇っていたもみじが、きょう一ぺんに落ちて路に散り敷かれた。登校途中の子どもたちが枯葉の厚みの心地よさをたしかめるように、その上を行きつ戻りつしている。静かな木立に満ちるなごりの日差しをそっと受けとめていた『秋』、木の枝にこわごわとぶら下がっていた『秋』の楽章は、ときの訪れに気づいて潔く風に吹かれ去った。
 窓を振るわせる『冬』の音。ちらつく雪の中にぱちぷちとはじけ跳ぶあられ。家の中に移された鉢植えたちがそっと肩を寄せあい、冷えてゆく窓にせまりくる白い点描をつくねんと見上げている。花びらのあくびの赤いシクラメン。唐突につんつんとものいうアロエの葉。ながい楕円の葉枕にひとりまどろむ月下美人。あるかないかの一まいの硝子向こうは『冬』の楽章。てぃりてぃりとひゅるひゅると鳴る幻のヴァイオリン。

                                                

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