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物語「大正10年2月16日の帝国劇場」

「えーと、我われの席は・・・」
 粋に紳士服を着込んだ館沢が劇場の階段を一段一段降りながらステージから12列目の中央席をめざす。つづく赤沢、佐々木すこし離れて梅村が徐に階段を降りる。やっと指定席に並ぶ4人。
「この曲目、2番目、これは何と読むのかな?」
 佐々木がプログラムの「西班牙」を指す。
「スペインですよ。スペイン交響曲。作曲者のラーローは、グラナドス、タルレガ、ファリャ、サラサーテに並ぶスペインの代表的な作曲家です」
 梅村が答えて、ハンカチで鼻水を拭った。
頷く佐々木。
「今回いちばん聴きたいのはサラサーテだ。いつかはチゴイナーワイゼンを独奏したい」
 赤沢がざわめく会場の入りを計るようにぐるりと見回しながらいう。
「さあて、何年かかるやら」
 館沢が茶化した。
「何年かかったってやりますよ。ここまでやって諦められるもんですか」
「ぼくはヴィヴァルディのバイオリン司伴楽が楽しみだ。あの弦の明るさ、さんさんとふる光はやっぱり日本のお日さまじゃないですよ」と館沢。
「この司伴楽は『四季』のことでしょう」と佐々木。                「解説では、アレグロ、アダジオ、アレグロとなってるから、これは『秋』の楽章だろうね」梅村が言い足して懐中時計を見る「そろそろです」。        「あれっ、あのご婦人はもしかして幸田延女史では?」館沢がかなり離れたところにいるドレスの婦人に視線をあて赤沢におしえる。                                         「しーっ」佐々木が制した。               

スタンウェイピアノが待つステージにカツカツカツと靴音がして、ストラディバリを抱えたエルマンが登場。従うはピアノ伴奏のアーサー・レッサー。割れるような拍手とともにレッサーが椅子に腰掛け幾分ピアノに引き寄せる。顎にヴァイオリンを挟み込み、弓を構えるエルマン。息をのんで待つ人々に鳴りだしたアレグロのは notes notes notes notes

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