わかっているよ
サトウ・ハチロー記念館のお母さんの詩コンクールがあったよね。あっ、あなたも出したの? じつは、おばちゃんもこっそり出しました。ところがね、ら・く・せ・ん、でした。審査員の先生の目にとまったかどうかも、あ・や・し・い。もしかすると下選の段階で、3行と読まれもせずに、はいまたね、だったかも。だけどいいの。おばちゃんの母さんへの気持ちが、それで価値半減したわけじゃないもんね。そこで、その落選した詩を、「はい、これです」、って書いてみることにしました。
わかっているよ母さん
老眼鏡を鼻にして
しきりに活字を追っているけれど
それでもよくは見えないらしい
「まんづ、は、見ねぐなったもんだ」
わかってる
真夜中にふと眼をさましたら
真っ白なわたしのセーターの細かな編み目を
毎晩すくっていたものね
玄関で声をかけたら
テレビをがんがん鳴らして
こたつで居眠りしている母さん
ちょんちよんと肩をつついたら
とろりと眼をあけて
「なして、こっただに、聞けなぐなったんだが」
わかってる
枝豆やトウモロコシをいっぱい食べさせたくて
かたい土に
汗を流し流し鍬を打ち込んでいたよね
耳もいっしょに疲れたんだよ
脚がすっかり細ってしまい
すぐにぐらりとよろけてしまう母さん
「何だってこっただに情げなぐなったんだが」
そんなことはないさ
いなかに住んでいたころ
家計のやりくりのために
まだ暗い林にはいって
枯枝をのっちりと集めては
たき付けにしていたよね
わかってる
どんなに重たかったか
どんなに疲れていたか
いつだって家族のために生きてきたよね
みんなみんな
わかっているよ
07年10月17日(水)
玉砂利に静かな樹木の影が
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