柳沢まで
おばちゃんは午後、バイクで柳沢のSさんの家まで行ってきました。お見舞いです。ライディングなどというかっこいいものではありません。たまたま天気がよくて、とにかく風を浴びたかったからです。
バックミラーに後続の車を確かめながら、明るい黄色のカラマツを後ろに後ろに送ります。街路樹を次々に背中で送りながら、秋の澄み切ったちょっと冷たく研ぎ澄まされた空気を切り進むのです。風がぼーぼーと鳴ります。道ばたに落ちた栗の毬が口を空けてこぼした実や、実になりきれなかった扁平な実を幾つも幾つも弾いては繁みに飛ばし、松の木に絡みつき、上から下まで真っ赤に紅葉した蔦の葉を眼の端に惜しみながら、真っ青に晴れ上がった空に、くっきりと、どっしりと、すらりと、しゃれた曲線を描く岩手山にどんどん向い、近づいてゆくのです。遙か彼方に細く見える路をたぐり、引き寄せ引き寄せゆくのです。
Sさんの家に着くと、大きな栗の木が、いっぱいに枝葉を広げて、栗の毬が頭上高く、あっちにも、こっちにも、そこにも、ここにも。はにかみながら、吹き込む風に、怪訝そうに、栗の実を、遠慮がちに落としていました。そのむこうに、Sさんが、割烹着姿で、ちょっと涙目の笑みを明るくして、近づいてゆくおばちゃんを見守ってくれていました。
07/10/24(水)
初冠雪が溶けかけた岩手山を見上げながら
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