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きょうも誰かが

kyou  mo  dareka  ga  umare    kyou  mo  dareka  ga  satte  yukunoka

焦点の定まらぬ眼を
ときおりどこか知らないところに這わせな
がら
息をしている

  小さく小さく
  大
きく
  小さく小さく
  大きく
  
たまに息が立ち消える
  
・・・・・
  
また息がもどる
  
小さく小さく小さく
点滴は音もなく
  
ぽつり・ぽつり・ぽつり

もっと光がほしいのに
なんというきょうの天気

くすんだ緑色の川
その川縁のはたけにがんばっていた
赤いダリヤや黄色い菊も
濡れそぼち
深まる秋に抗おうにも
もう力が萎えそうなありさまだったけれど

虚弱児だったわたしを抱きかかえ
ビタミン剤をふくませている母の姿が浮かぶ

母はいまどこを歩き
何をみているのだろうか

たまに穏やかな笑みが浮かび
ときおり苦しげに眉間にしわを寄せる
死の力が
万力のように頭蓋をしめつけているのだろうか
それとも
辛かったときを思いだしているのだろうか

苦しげな母の額をそっとなで
宙を泳がせる母の
人工透析のシャントでジンジンと鳴る

やせ細った左手を
やわらかくそっと握る


kyou  mo dareka  ga  umare    kyou  mo  dareka  ga  satte  yukunoka

                            07/10/29(月)

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